在宅医療を勧められているけれど想像がつかなくて躊躇している、家でも病院と同じように医療ができるのだろうか、世話をする立場として病人の世話ができるかどうか不安でしょうがない、もし世話ができなくなった時はどうすればよいのだろう、などなど悩んでいる患者様、ご家族様がおられることは想像に難くないことです。

本当にそうだと思います。あまり在宅医療には縁のない生活をしてこられた場合、回りに体験された知人もいないし、聞いたこともないし、不安が募るのはまったくその通りだと思います。

ここでは、「知ること」に主眼を置いて、読みやすく理解しやすく描いてあるマンガを紹介します。

東京都 医療政策部 医療政策課 地域医療対策担当」が東京都医師会に委託をして制作したマンガです。1)認知症の在宅医療、2)良性疾患の在宅医療、3)神経難病の在宅医療、4)悪性疾患の在宅医療 の4種類あり、引用しております。

東京都のホームページの改修があり、PDFファイルが移動となっておりました。最新のリンクになっております。PDFファイルをクリックしてみてください。(2018年12月18日更新)

1)認知症の在宅医療

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ご主人に先立たれた老婦人が、独居で未亡人生活をスタートさせますが、認知症になってしまいます。近所に世帯を構えている実の娘が通いでいろいろとお世話をします。だんだんと症状が悪化し、娘さんひとりでは手に負えなくなります。そこで多種の関係者(認知症の専門の訪問診療医、ケアマネージャー、訪問看護師、ヘルパーさん、歯医者、薬剤師)が集まり、もちろん患者さん、娘さんも含めカンファレンスを開き、チームによるケアが始まります。

認知症の在宅医療

2)良性疾患の在宅医療

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離婚後必死で働き一人娘を育てながら花屋をオープンさせたお母さんとひとり娘の話です。働きづめのお母さんは脳梗塞で倒れ入院、リハビリの甲斐があり無事退院、介護保険の認定を受け、順調に生活、回復していきます。が、その後家で転んで骨折、再度の入院。退院後、店をきりもりする娘と自宅で療養することを強く望むお母さんの支援のために多種関係者(入院病院担当医、訪問診療医、ケアマネージャー、訪問看護師、歯科医、作業療法士、母娘)によるカンファレンスが開かれ、フォローアップ体制が話し合われました。

良性疾患の在宅医療

3)神経難病の在宅医療

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ゴルフの大好きな自営業のご主人は、進行性筋委縮症(ALS)と診断されます。ALSによる呼吸器機能が80%まで低下した時点で呼吸器設置の手術で入院となりました。事業を途中で終わらせてしまいたくないご主人の後継者の育成のため自宅での生活を強く望み、奥さんは在宅ケアをする決心をします。そのご主人と奥さんを支援する多種関係者(入院担当医、訪問診療医、訪問看護師、ケアマネージャー、ご主人と奥さん)のカンファレンスが持たれました。

神経難病の在宅医療

4)悪性疾患の在宅医療

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気さくで人柄のよい成績優秀な営業課長(52才)はステージIIの肺がんと診断されます。摘出手術をしましたが、8か月後に再発、治療の甲斐もなく全身に転移、手の施しようがなくなりました。病院から自宅での療養をすすめられますが、家族は不安で不安でしょうがありません。病院のソーシャルワーカーを介して、訪問診療医の紹介、介護サービスの申請をして、自宅療養がスタートします。会社復帰を望む本人には全身転移の告知はされていません。訪問診療医の緩和ケアがスタートします。

悪性疾患の在宅医療

 

まとめ

在宅医療は、個人個人全てその状況も背景も違います。同じパターンはひとつもありません。医者がひとりで支えることは決してできません。ですので、在宅医療はチームで支援するということがお分かりいただけたと思います。困ったことや悩みごとを相談いただければ、チームで情報を共有してその負担を軽減するよう努力いたします。ひとりで抱え込んだりしないでください。

病院は治療をして直すところ、在宅医療は治療をしながら最期まで過ごすところ、見届けるところとご理解いただければと思います。患者さんの気持ちを思うと知り合いのご近所さんがいて、かってのわかる自分の家で、入り慣れた自宅のお風呂で、自分流に過ごしたいという希望をかなえさせてあげられればと思うのです。

自宅で医療を受ける、療養する、その時はひとりではない、孤立する必要はないということをぜひ覚えておいてください。